2014年8月11日月曜日

疲れないスキー研究室 ~ 運動の法則から

テレマークスキーのインストラクターをやっていると、ちょくちょく聞かれることがあります。

「テレマークターンをするととても疲れるのですが、疲れない方法はありませんか?」、です。


実際に滑っているところを見たことの無い方には、とりあえず、

「余計な力が入っているだけですよ~~」

と、(できる限り軽い口調で)、答えてます。
           ...だって、見たこと無かったら答えようがないじゃないですか。


そんなことを言わず、ここは徹底的に、疲れない方法を検討してみたいと思います。
まず今日は、”運動の法則”からの考察です。

                    (そんな大それたことでもないんですが...)



物理の授業の”運動の法則”を思い出してください。
自由落下の次に出てくる、運動の第二法則というやつです。
その時に、”斜面を滑り落ちる物体の加速度”として左のような図がでてきたのを覚えているでしょうか。

これ、いかにもスキーっぽくないですか?
そう思うのは僕だけじゃないですよね。

そこで、加速度を求める”sin?”とかは無視して、ベクトルの向きと大きさだけでスキーに当てはめてみようと思います。




斜面をもうちょっと急にしてメリハリをつけます。


地球に垂直方向のベクトルbより、斜面に垂直方向のベクトル”a”の方が短いことがわかります。
つまり、落下する力”c”にまかせてしまえば、斜面に垂直に立つと、足にかかる重さは体重”b”より少なくなることになります。

これ、凄くないですか。



「エッジを切り替えるとき、クロスオーバーを行うときは板を斜面に対してフラットにしましょう、面でおさえるようにイメージしましょう。」
と言われたことがあると思います。
これは、ターンの切り替えのときには、斜面に垂直に立つようにすると、次の谷回りに入れますよ、というものです。

ニュートラルともいわれる、この、エッジの切り替えでの、”フラットになるとき”と、いうのは、足に負担の少ない時間でもあるんです。この時間が長いほど足への負担が減るわけです。

そして、エッジの切り替えのときに、斜面に垂直に立てれば、スキー板は自然にフォールラインに向かって落ちて行きます。
板の先落としがはじまって直滑降になります。
そう、もっと言えば、そのまま直滑降するのが一番疲れないはずなんです。(怖くない斜面であれば。)



逆に踏ん張ってしまう時間が長いということは左の図のようなことになります。

体重に落下する力がかけ合わさって、これを足で受け止めながら滑ると間違いなく疲れます。

常にブレーキをかけながら滑るプルークボーゲンが一番疲れるのはこのためではないでしょうか。できる限りブレーキをかける方向に足を出さなければいいということになるでしょう。
極論は、”止まらなければいい”と。


そう、止めようとしないこと。

緩斜面になって自然に止まるか、深回りをしてスピードが落ちるのをまつか、徐々にターンを深くしてスピードを落とすか、とにかく、急激に止まろうとして、自分の足で落下の力を受けとめないことでしょう。止めることよりも、受け流して滑り抜けることを考えて。

普段のレッスンで、ファミリーゲレンデの緩斜面では、一日レッスンを続けても、自分で滑っている時よりも疲れない、とよく言われます。これは、まさに止めようとしないからなんです。斜度が緩いのでリフト乗り場前ではほっといても止まってしまいます。(決して、レッスンの内容が良いから疲れない、のではありません。実のところは...)




今日の結論。

Q:「テレマークすると疲れるんですけど。」


A:「止まらなければいいんです。」

m(_ _)m  失礼しました。


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