2016年11月14日月曜日

演技すること

自分だけで山を滑るなら、究極に自己満足です。

気持ちいいところを求めて、本能に従う、と言ってもいいのかも。

そうではなくて、相手に見てもらうことを意識して滑ったら、それはただの滑走ではなく、目的を持った”演技”となります。パフォーマンス、と言い換えてもいいのかもしれませんね。

僕の身近に、イントラを目指していて、このところ悩んでしまっている方がおりますので、その方に向けて、ちょっと、参考になればと、この演技の話題を思いつきました。



一言で「演技する」と言っても、その目的によって全く違うものとなります。
誰に見せるか、どう見せたいのか、それを意識することが何より大切なんです。

ちなみに上の写真、カメラから遠ざかっている僕は修行が足りません。
カメラマンの気持ちを考えてないです!
自分だけで楽しんでたんでしょうね(笑)




レッスンなどで初心者に教えるという目的で滑るならば、「怖くないよ、真似したらすぐに出来るようになるよ。」と、できる限りシンプルに滑って見せると思います。

競技で勝つために滑るならば、「誰にも真似はさせない!俺は唯一無二の存在だ!」と考えるでしょう。レースなら誰にも真似できないスピードで、採点競技なら採点するジャッジが真似できないと思うぐらいのつもりでないと優勝はできないかも。

”誰でもできるよ”と滑って見せるのと、”誰にも真似させない!”と滑って見せるのでは、どう考えても同じシルエットにはならないと思います。技術じゃないんです。目的が違うんです。


それでは、指導員の検定はどちらでしょう? そう、優勝する必要はありません。
言い換えれば、上手くなくていいんです。安心して見ていられる演技が必要なんです。
勝つ必要はないので、他の受験者との違いをアピールする必要はありません。
それだけです。

なのに合格しなければ、と思うあまり、上手な人ほど余計なことをしてしまうみたいです。特に、初心者向けの低速の演技で、皆さん勘違いされてしまうようです。
必要以上に低速でねちっこく滑る必要もありません。初心者に真似してもらいたい速度で滑りきればいいんです。後ろに3人ほどお客さんを引き連れているようなつもりで。
実は、ここで妙なアピールなんかすると、ジャッジは”イラっ”として、余計なことしてんじゃねえ!、ってなるみたいですよ。(笑)

また、勘違いして、初心者の手本だからと、わざと下手そうに滑る方もまれにおります。
これは本当にやめた方がいいですよ! 「ナメてんのか!」ってなりますから。
必要な運動要素だけを強調して滑るのと、端折って適当に滑るのは、初めて参加するお客さんだって見分けられますので。(笑)



余談ですが、「テレマークターンで、プルークボーゲンなんて必要ないんじゃないか?」とよく言われます。
しかし、考えてもみてください。生まれて初めてスキーを履く人があなたのレッスンに来たとき、ボーゲン以外に安心して制動をかけて滑ってもらう手段はあるでしょうか?
そして、このボーゲンを滑って見せるあなたがふらついていたら、お客さんはきっと帰っちゃいますよ。(笑) ボーゲンはスキーもテレマークも初心者を教える”2本足族イントラ”の必須条件です!




そうそう、あなたが滑って見せた時、「わあ凄い!でも私には難しそう。」と言われたら、競技者としては勝ちです。相手の戦意を喪失させたのだから。でもイントラの商売としてはアウトでしょう。(笑)

「楽しそう、なんか簡単にできそうに見える!」、そう言われたら、OKです!



偉そうに、指導者検定のお話などしてしまいましたが、僕が最初にテレマークの指導者検定を受けた年は、ジャッジの方全員から「無理!」って言われる滑りをしていました。(汗)
イントラになった後で理解しましたが、基礎スキーの世界であれば門前払いの状況です。が、あのときは、桐澤部長(当時)をはじめ、高橋さん、北田さん、そして望月さんなど皆さんが正面から向き合って指導していただきました。普通なら馬鹿にしたり無視したりされるようなレベルだったにもかかわらず、です。 本当に皆様のお陰で今の僕がここにおります。
(正直、あの年に受験していなければ、僕はすぐに諦めていたと思います。)

しみじみ、本当に”人”なんですよね。 一期一会ってところでしょうか。
今年のテレマークの検定会も、そんな場所になることを心から期待しております。ホントに。

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